酔いどれながら歩くのが好きだ。
冬の景色は冷たくて、僕の背筋をしゃんとさせる。
月が丸いとなお良い。
視力低下気味の僕には、だいたいが満月様にみえる。
姉と夜のベランダでUFOを見つけた。
見慣れた景色に大きな葉巻型のUFOが浮かんでいた。
あの頃は姉もぼくもまだまだ子供で、二人で過ごす時間が多かった様に思う。
中空に浮かぶ葉巻型のUFOは突然消えた。
UFOを始めて見る僕には衝撃的だった。
「私は昔良くUFOに攫われよったけんね」
そう発した姉は、幼少期にUFOに攫われて受けた実験の話しや、会話の話、UFOの話を矢継ぎ早に僕に話す。
怖くなって、無力な自分に泣いたのを覚えている。
それから何年も経って、姉にその時の一連を話すが、まったく覚えてい無いと言う。
あの話は弟をからかう嘘だったのかなんなのか、彼女が覚えていない以上闇の中だ。
ただ、あれ以来姉の人生は神がかっている。
無茶苦茶なのに、筋が通っていて。
欲しいものもドンドン手に入れる。
多分彼女は攫われて改造されたんだろう。
だから彼女はすごいと思えば何か納得いく。.