節分には太巻きを買って、皆で黙って同じ方向を向いて食べる風習があるという。
なんだか、凄い風習。
僕が子供の頃は、豆を鬼に向かって投げる日だった。
鬼に扮した誰かに、フルスイングで豆を投げる事が許された日。
鬼は外!
福は内!
鬼は外!
福は内!
ゲラゲラと笑いながら、痛がる鬼に豆を投げつける子供たち。
怖い風景だ。
あれ?
鬼は外で窓から豆を投げるんだっけか?
福は内で家の中に撒いて?
んー?
あんまり覚えていないが、家でやった記憶は無い。
小さい頃はやったかもしれ無いが覚えていない。
豆や穀物には、厄災を祓う力が秘められているという。
禍々しいモノ=鬼に豆を投げつける事で、鬼を退治し、その豆を食べる事で自分の中の厄災をも祓う風習なそうな。
平成の初め頃
おーい!大変だ青鬼どんが豆でやられたぞー
畜生め!!何たって人間は俺たちに豆を投げつけるんだ!!
仕方ないのじゃよ、我々鬼は存在自体が厄災。人もまた生きるためなのじゃ!
てやんでぃ!!おいらぁ人間はにギャフンと言わせちゃりますけんね!!
やめーい!!人を傷つけてはならぬのじゃ
しかし、このままじゃあ、俺たち鬼はやられてばかりじゃねえか。
お父さん!あたい思い付いたんだ。もっと平和で馬鹿みたいな事を流行らせれば、人間は鬼退治を、辞めるんじゃない??
それじゃ!!
皆のもの!飛び切り馬鹿みたいな風習を考え流行らせるのじゃ!!
そして僕は太巻きを買おうか悩み出す。.