節分には太巻きを買って、皆で黙って同じ方向を向いて食べる風習があるという。
なんだか、凄い風習。
僕が子供の頃は、豆を鬼に向かって投げる日だった。
鬼に扮した誰かに、フルスイングで豆を投げる事が許された日。
鬼は外!
福は内!
鬼は外!
福は内!
ゲラゲラと笑いながら、痛がる鬼に豆を投げつける子供たち。
怖い風景だ。
あれ?
鬼は外で窓から豆を投げるんだっけか?
福は内で家の中に撒いて?
んー?
あんまり覚えていないが、家でやった記憶は無い。
小さい頃はやったかもしれ無いが覚えていない。
豆や穀物には、厄災を祓う力が秘められているという。
禍々しいモノ=鬼に豆を投げつける事で、鬼を退治し、その豆を食べる事で自分の中の厄災をも祓う風習なそうな。
平成の初め頃
おーい!大変だ青鬼どんが豆でやられたぞー
畜生め!!何たって人間は俺たちに豆を投げつけるんだ!!
仕方ないのじゃよ、我々鬼は存在自体が厄災。人もまた生きるためなのじゃ!
てやんでぃ!!おいらぁ人間はにギャフンと言わせちゃりますけんね!!
やめーい!!人を傷つけてはならぬのじゃ
しかし、このままじゃあ、俺たち鬼はやられてばかりじゃねえか。
お父さん!あたい思い付いたんだ。もっと平和で馬鹿みたいな事を流行らせれば、人間は鬼退治を、辞めるんじゃない??
それじゃ!!
皆のもの!飛び切り馬鹿みたいな風習を考え流行らせるのじゃ!!
そして僕は太巻きを買おうか悩み出す。.
酔いどれながら歩くのが好きだ。
冬の景色は冷たくて、僕の背筋をしゃんとさせる。
月が丸いとなお良い。
視力低下気味の僕には、だいたいが満月様にみえる。
姉と夜のベランダでUFOを見つけた。
見慣れた景色に大きな葉巻型のUFOが浮かんでいた。
あの頃は姉もぼくもまだまだ子供で、二人で過ごす時間が多かった様に思う。
中空に浮かぶ葉巻型のUFOは突然消えた。
UFOを始めて見る僕には衝撃的だった。
「私は昔良くUFOに攫われよったけんね」
そう発した姉は、幼少期にUFOに攫われて受けた実験の話しや、会話の話、UFOの話を矢継ぎ早に僕に話す。
怖くなって、無力な自分に泣いたのを覚えている。
それから何年も経って、姉にその時の一連を話すが、まったく覚えてい無いと言う。
あの話は弟をからかう嘘だったのかなんなのか、彼女が覚えていない以上闇の中だ。
ただ、あれ以来姉の人生は神がかっている。
無茶苦茶なのに、筋が通っていて。
欲しいものもドンドン手に入れる。
多分彼女は攫われて改造されたんだろう。
だから彼女はすごいと思えば何か納得いく。.
あっという間に一月が行く。
2月が逃げる前に捕まえなくちゃ。
「ほらほら、多望!捕まえてごらんなさーい!おほほほほほ」
僕は冬のビーチで2月を追いかける。
でも、2月は100m10秒を切る。
僕は鈍足だ。
本当に足が遅い。
幼稚園の頃に劇をした。
赤ずきんちゃんの狼役だ。
例のやりとりの後、4才の僕はベットから飛び出す。
「お前を食べる為さ!!」
ベットの周りを逃げる森田さん。
追いかける香葉村。
二週目に差し掛かるころ、会場ないから沸き起こる笑い声。
そして、
僕を追い抜く森田さん。
多分最初のトラウマだ。
多分鈍足な僕は2月を逃がすし3月には去られる。
皆が僕を捕まえて下さい。.